文章 書き方コツNOTE(ノート)
著者の安田峰俊氏は、ご自身の著書や文藝春秋の記事で大量の文章を世に出している。 その経験を元にして、本書の前半では、平均的な日本人にとって分かりやすい「ユニバーサル日本語」の存在を想定し、解説してくれている。 著者自身が社会問題を世の中に知らせるルポを多く書いているので、ユニバーサルに書くことがものすごく得意なのだ。安田氏の書く文章は、凝った言い回しをせず、ストレートなので、多くの人にとって分かりやすい。 ターゲットを絞った尖ったマーケティング文章や、技術的な解説をするための文章術ではないけれど、最大公約数に届ける文章を書くために役立つ知見が詰まっている。 また安田氏は、Xでは遠慮のない物言いをすることが多い。この本の中でもそのスタイルが貫かれている。 たとえば第4章では、 格好悪いメール定型句として「お世話になっております」を挙げている。 読み手からすれば「お世話をしたおぼえもないのに」と感じる、という意見だ。 何も考えずに「お世話になっております」を書いてしまうのは、格好悪いということだ。 (ちなみに私も同感である) こういった調子で、おかしいところにはおかしい、と指摘するスタイルが貫かれており、本書を読みながらハッとする方もきっと多いだろう。 後半では、SNSの発言や、WEB記事をバズらせる方法が書かれていた。 人間がもともと持っている下世話な感情を刺激して、拡散を狙う方法だ。 そしてこちらは参考にしないほうがいい気がしている。 著者の安田氏であれば、持ち前の知性と圧倒的な知識量、そして生来のセンスによって、マグマの上を綱渡りするように絶妙なバランスで文章を書ける。炎上回避能力が異常なほど高い方だからだ。 しかしたいていの人はそうではない。バズり目的で文章を書き続けていけば、インプレッション稼ぎのためにどんどん文章が荒くなっていくだろう。安易に真似しようとするとダークサイドに行ってしまうので、後半の文章術を真似することはおすすめしない。 ただ、前半のユニバーサル文章術は正真正銘に素晴らしい。 文章のオモテもウラも知り尽くす安田峰俊氏の著書には、一読の価値がある。目次
第1章 誰でも読める「プロの日本語」を書く方法 第2章 ユニバーサル日本語の文章術(実践編) 第3章 ユニバーサル日本語VS漢字 第4章 最強のビジネスメールを書く方法 第5章 絶対に「失敗」しないツイッター文章術 第6章 伝わるLINE、モテるマッチングアプリの表現戦略 第7章 自在に数百万PVを叩き出してウェブ記事を「激バズ」させるコツ 第8章 紙媒体とウェブ媒体の文章術